論文中では、基本的に、可算名詞は冠詞なしの単数形では用いられません。
We need to employ a femtosecond laser to generate THz pulses.
a femtosecond laser での"a"は、限定のない不定冠詞の典型的な使い方で、特に「1つの」という意味は持ってはいません。特に限定、指定しないような事柄には"a"を付ければ良いと思います。
"the"は、特定のことを示しているときに使います。ですから、"the"は"that(this、these、those)"のような指示代名詞に置き換え可能な場合に用います。
また、"the"の後の名詞が複数形のときは、一般的には"the"は使いません。これは、名詞を複数形にすることで、より一般的で幅広い範囲のものや事柄を表現する場合が多いためです。もし、複数形に"the"をつけると、幅広い、一般的な事柄を、限定しようとする矛盾が起きてしまいます。ただし、次のように、「複数形の名詞 + "the"」にもきちんとした限定の意味ある場合には、問題ありません。
The liquid samples will be subjected to a variety of tests.
このときには、サンプルが複数ありますが、限定されたいくつかのサンプルのことを想定した議論なので、限定された複数形が使われます。
The cooling system was employed to maintain the sample section at room temperature.
ここでの"at room temperature"はイディオム化している表現なので、冠詞は付けません。他にも、冠詞を付けない形のイディオムは、そのままの形で覚えるしかありません。
また、当然のことですが、次の例文のように不可算の名詞には、特に冠詞を付けなくても問題ありません。例えば、
At temperatures below zero, water turns into ice.
ここで、水と氷はどちらも不可算の物質名詞です。
その他、
Lead is heavier than aluminum. Helium is lighter than argon.
ここでも、金属や気体などの元素名も、物質名詞なので、冠詞なしで使います。
Water-cooling is effective than gas-cooling in this experiment.
上のような動名詞(water-coolingやgas-cooling)も冠詞なしで使われますので、注意してください。