Introductionを書く練習(2)

Introductionを書いてみよう

Introductionを書くトレーニング(2)

(5) One way to toughen polymers is to incorporate a layer of rubber particles and there has been extensive research regarding the rubber modification of PLA[5].
筆者は、ここで一般的な問題の話から、論文の議論へと移している。

 

(6) For example, Penney et al. showed that PLA composites could be prepared using blending techniques[6] and more recently, Hiller[7] established the toughness of such composites.
筆者は、議論したい研究分野においての主要研究の簡単な概要を説明している。

 

(7) However, although the effect of the rubber particles on the mechanical properties of copolymer systems was demonstrated over two years ago[8], little attention has been paid to the selection of an appropriate rubber component.
筆者は、これまでの研究での足りない部分を説明している。

 

(8) The present paper presents a set of criteria for selecting such a component.
筆者は、自分の論文がどのようなものなのか説明をしています。

 

(9) On the basis of these criteria it then describes the preparation of a set of polymer blends using PLA and a hydrocarbon rubber (PI).
筆者は、論文内で使用している研究手法の詳細を説明している。

 

(10) This combination of two mechanistically distinct polymerizations formed a novel copolymer in which the incorporation of PI significantly increased flexibility.
筆者は、研究内での発見、成果を述べている。

 

解説

 

文章(5)

このような一般的な話題から、論文の議題に移すような文章においてさえ、一般的なルールとして、説明を明瞭にしたい場合には、リファレンスを付けるべきです。

 

文章(6)

過去の主要研究の概要説明では、でたらめな順番で、ただむやみやたらに説明するようなことは避けてください。ここでの主要研究例の説明でも、あなた自身の研究の説明と同様に、読者が論理立てて処理できるように、適切に説明をしていってください。

 

・年代順
説明する研究内容を、年代順に並べていく。この説明の仕方は、あなたの研究分野が、政治の決定などに関係しているような場合に適しているかもしれません。

 

・手法ごと/理論ごと/モデルごと
研究手法などによってグループ分けできる計画や研究の説明。類似性のある研究をグループ分けすることで、説明の論点が散在することを避けられます。

 

・一般性から具体性へ
研究分野における一般的な研究例から、あなた自身の研究内容に近い内容の説明へと少しずつ移していく。

 

文章(7)

ここからは、あなたの論文の目的、そして、あなたが解決したい特定の問題について説明をしていくことになりますが、この為にはまず、研究分野における空白部分を説明しなければなりません。例えば、過去の研究での問題点を指摘したり、過去の研究でまだ足りない部分を説明することが必要です。この際には、一般的には、「However」や「Although」などの逆説を表す言葉が使われます。一度色々な論文で、こうした空白部分の説明がどのように行われているかをチェックしてみてください。

 

過去の研究例の問題点を指摘するのは、少し気が引けて、遠慮がちになる方もいるかもしれませんが、あなたの論文の必要性を説明するうえでは、非常に大切なことです。また、科学論文の分野では、丁寧な言い回しで、過去の論文に対し敬意をもって説明をすれば、全く問題にはならないので、しっかりと過去の研究での空白部分というのを説明するようにしましょう。後ほど、論文での「丁寧な言い回し」については別の所で勉強していきます。

 

また、この辺りからあなたの研究内容の説明が入ってくるので、あなたの論文で扱っている研究対象の物質についてや、あなたが改良した研究装置の詳細など、必要に応じて適宜説明を加えていく必要があります。説明不足になってしまうと、論文の内容に付いてこれない読者が出てきてしまうので、説明は多すぎる、丁寧すぎるくらいのほうが良いと思います。

 

 

文章(8)

この段階でようやくあなた自身の論文の内容に移っていきます。そして、研究目的、研究の焦点、研究がどのような構造になっているのかを説明していきます。例文では、1つの文で説明を完結していますが、「筆者は、自分の論文を説明」するのに必要な内容を複数分になっても良いので説明してください。

 

「時制に関して」
自分の研究の説明においては、通常「現在形」が使われます。例えば、
This paper is organised as follows...
This study focuses on...

 

ただし、研究の目的を説明するときには過去形を使うのが良いでしょう。例えば、
The aim of this project was...
なぜなら、研究の目的は今起こったのではなく、実際には、研究が実施される前段階で既に起こっているものだからです。しかしながら、色々な論文を見ていると現在形で研究目的を書いているものも多く見られますし、実際大きな問題にはなりません。正確には、あなたが今回投稿した論文が部分的に目的を果たしていて、残りの部分は今後の研究で解決していくような場合には、その研究目的は現在も継続中ということで、現在形を使うのが正しいとなるでしょう。状況に応じて使い分けてください。

 

時制に関しては、Introductionの時制で復讐をしてみてください。

 

 

文章(9)(10)

ここでの注意点を1つ。あなた自身の研究手法や研究の成果をIntroductionで述べるときには、あまり詳しく説明をしないようにしましょう。ここで説明をしてしまうと、後の「Methodology」や「Results」のセクションで述べることがなくなってしまいます。

 

 

いかがでしょうか?具体的な内容にこだわらずに、ネイティブの研究者が、Introductionのなかで何をしているかを理解することで、あなたが自身がIntroductionを書くときに何をしなければならないか見えてくると思います。この作業はとても有用なので、模範となるような論文を見つけ、この作業をいくつかやってみてください。そして、あなたが自分の論文のIntroductionを書くときに、自分の研究内容に置き換えることで、ネイティブと同じレベルものが書けるようになります。

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